福島第一原子力発電所事故(その2)

下記、私の卒業高校のメーリングリストでのやりとりですが、役に立つかも知れないのでに転載します。
また前エントリーも多少追加しましたので併せてご覧ください。

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> このリンクは、「包括的核廃絶機構」かな? の情報に基づいたアメリカの記事なんだけど、△△にもらったメールでは、放射性物質がセシウムだから、このリンクに表示されてる風に乗ってやってくる放射性物質の危険度は、体内に1~2個入ってもだいじょうぶということか? というか、それぐらいは、日常的に吸い込んでるのかな?
> http://www.nature.com/news/2011/012345/full/news.2011.168.html
> http://www.zamg.ac.at/aktuell/index.php?seite=1&artikel=ZAMG_2011-03-17GMT09:15

〇〇の言っているのは、包括的核実験禁止条約機構
http://ja.wikipedia.org/wiki/包括的核実験禁止条約
http://en.wikipedia.org/wiki/Comprehensive_Nuclear-Test-Ban_Treaty_Organization
だね。

Natureの記事読みましたが、ここでも専門家が「The levels in Japan itself, outside the immediate vicinity of the Fukushima power plant, “wouldn’t scare me”, he adds.」
つまり福島原発のすぐそば以外であれば私は怖くないと言っています。

日常的に放射性物質となったセシウムを吸い込むことは無いと思います。ただ、セシウムから出るような放射線は日常的に浴びています。少量入っても大丈夫かということに関しては、大丈夫です。というか、何を持って大丈夫とするかですが、今の東京での放射線量は常識的な感覚で「全く」問題ないと言えます。

> 現在原発から半径20キロの避難命令と30キロの屋内待機命令が出ていて、米国からは50
> マイル(約80キロ)の避難勧告が出ています。昨日の米国公聴会では米国国内の原発事
> 故の場合は公式な避難命令は10マイル(約16キロ)なので、国内外で米国の方針が違うの
> はおかしいという意見表明が出る一方で、歴史的に10マイル(16キロ)は危険ではないか
> と言う声もあるそうです。

正直なところ放射性物質の拡散に関しては私はプロではありませんので正確なところは分かりません。素人として情報を漁った限りではやはり原則的には距離の二乗に反比例して濃度は薄まることは正しいようで(MIT website)、50km圏外であればチェルノブイリ級の事故でも直接被曝による被害は殆ど無いというのが感覚です。200km離れている東京に至っては何があっても問題ないと思います。ちなみに避難勧告は測定放射線量に応じて基準が決まっています。これこれの濃度に至る可能性があれば「退避」、これこれの濃度の可能性があれば「屋内待機」というようにです。つまり一律10マイルというのはナンセンスですし、今ひとつ分かりません。

チェルノブイリでは甲状腺癌が唯一増えたことが明らかになった癌ですが、この原因は当時ソ連が情報を隠蔽して放射性物質を高濃度に含んだ作物を食べた内部被曝によるものであることが分かっています。今回は情報を隠すことができない状況(リアルタイムで各地の放射線量はモニタリング・公開されています)ですし、日本人はバランス感覚を逸してヒステリックにしかも一時的にリスク回避する(かいわれ大根O-157,  狂牛病, こんにゃくゼリー vs 交通事故死 1万人/年、煙草による発がん6万人/年)ので、高濃度に被曝した作物を口に入れることはないでしょう。それよりも風評被害で実際には問題ないものも全く売れなくなるでしょう。こちらの方が私は心配です。

> 嫁さんの両親が概ね60キロ地点で生活しているのですが、どう思いますか。

ご両親は高齢ですので、失礼ですが全く問題ないと思います。急性障害は100mSv以上という非常に高い放射線量を短期間で浴びなければならないので、ブログでも記載したとおり現場以外ではまず起きません。なので心配すべきは晩発障害の発がんだけです。そして癌の発症率も子供であれば僅かな発ガン率の上昇も先が長いので気にならないことはないですが、ご高齢の方は平均寿命まで20年も無いので本当に影響は全く無視できると思います。それよりも精神的に不安定になることの方が可哀想ですね。

ちなみに私は癌のことをずっとやっていますが、日本が癌が多いのは全体で見ると発ガン率が高まったわけではなく、他の病気で死ななくなったからです。

> ちなみに今日のNew York Timesには、潜在的放射線は7マイルで40レム、10マイル
> で14-15レム、20マイルで13レム、30-50マイルで10-11レムという
> ことで、10-40レムはBlood Chemistry Changeを起こすとかいてありました。

いまどきレムとはNew York Timesもやりますね、古い単位です。1レムは 10 mSvです。潜在的放射線の意味がよくわかりません。大事故が起きた場合の線量でしょうか。7マイル 400 mSv, 10マイル 140-150 mSv, 20マイル 130 mSv、30-50マイルで100-110mSvということですね。ただこれが何の量なのか分かりません。これが毎時つまり400 mSv/時であれば結構な量なのでありえないと思います。おそらく400 mSv/年などかと思います。

発がんのリスクが明らかに上がる(わずかですが)ことが分かっているのが100 mSvからですが、これも実は不正確な表現で放射線の障害は照射総量だけでなく、その量の放射線をどのぐらいの期間で浴びたか、「線量率」と言いますが、これが大変効いてきます。つまりTotal 400mSvでもそれを1時間で受けるのか、1年かかって受けるのかで全く障害の程度は変わります。単純に短い期間で受けた方が障害は酷くなります。

ちなみに骨髄移植の際の線量率は5~15cGy/分つまり50-150 mSv/分, 3,000-9,000 mSv/時になります。これで骨髄移植の際は2,000 mSvを1回~6回照射(合計 2,000 mSv – 12,000 mSv)します。もちろん副作用や2次発がんも目に見えるほどありますし、そもそも比較すること自体がおかしいのですが、今議論されている量ですぐにどうこうなる(急性障害)は無いよ、あっても随分たってからの発がん(晩発障害)の率ですよということが言いたくて示しました。

> 内部被曝はどのような状況で起きる現象でしょうか?
> わかりやすくお願いします。
△△
> 花粉症で花粉ひっついたまた遊びに

〇〇
> 放射線源を体の内部に取り込んだ場合の被曝を外部被曝に対して内部被曝という。放射線源を体内に取り込む経路には以下のようなものがある。
> 放射性物質を口から取り込む(汚染された飲食物を摂取するなど)
> 放射性物質が皮膚の傷口から血管に入る
> 放射性物質のエアロゾルまたは気体を肺で吸い込む

△△と〇〇の回答で尽くされていると思います。被曝回避については、避難勧告圏外の人が除染(放射性物質を払い落としたり水で流したりすること)が必要な事態になることは本当に考えにくいと思いますので、気持ちの問題かと。実験で生の放射性物質はよく使うのですが、水で流すだけで簡単に落ちます。飛んでくる放射性物質をは△△の言うとおりイメージとしては花粉に近いです。なので対処も花粉対処と一緒になります。あとは食べ物に注意することですが、ここは日本なので間違い無く問題ないです。

以上です。今後も気軽に質問どうぞ。

(以上メーリングリストより改変後転載)

「福島第一原子力発電所事故(その2)」への3件のフィードバック

  1. 東京都の水道水に微量のヨウ素が観測されました。
    原子力安全委員会のなかで「安全」とされている数値ということですが、水道水ですので毎日飲んだり、うがいをしたり、と口内に取り込んでいます。
    ヨウ素で心配な甲状腺癌。
    私には四歳と二歳の子供がいます。つまり小児です。
    微量とはいえ、影響の出やすい子供達が毎日体内に取り込んでいけば蓄積され影響が出てしまうのではないかと不安です。
    都から発表された「安全」を信じて、水道水を使用したり服用したりして大丈夫なのでしょうか。
    安心できる解説をいただけたら、嬉しいです。

  2. rkさん。ご心配かと思います。ヨウ素の取込と発癌のリスクについての情報は血液内科医である私よりも、甲状腺の専門家である内分泌内科医か放射線科医師から得るのが最も信頼性があります。まずは
    東大病院放射線治療チーム http://twitter.com/team_nakagawa
    での中川恵一先生の情報が信頼できると思います。分かりやすく時系列に並べ替えたものが
    東大病院放射線治療チームによる「内部被ばくと福島の”牛乳問題”の解説」 http://togetter.com/li/113523
    としてあげられています。
    また、安全性を考えられる際に「大丈夫」とか「絶対安全」などという尺度は捨てたほうが良いと思います。全てのことにリスク(危険性)は伴います。ある危険性を回避すると別の危険性を持込むことになりますので、「どの程度の危険性なのか?」、「その危険性を自分は受容できるのか?」と考える癖をつけるとバランスよく精神不安定にならずに毎日を送れると思います。安心したいという気持ちはとてもわかりますが、rkさんの収集できる範囲で情報を取り御判断されるのが良いと思います。

  3. コメントをありがとうございます。
    教えていただいたサイトで、勉強し、認識をした上で判断していきたいと思います。

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