2008/1/25 金曜日

骨髄移植・腎臓移植と橋渡し研究(Translational Research)

Filed under: Science — tosh @ 10:19:56

うちのラボが何十年もやってきた一番のお題目、骨髄・腎臓同時移植がやっと形になり、New England Journal of Medicine (NEJM)に発表と相成った。

データ自体は何年も前からあり、何故、一流紙への発表が無いのだろうと思っていたが、内部・外部ともに色々あってそう簡単では無かった様子。これはBrief Reportなのだが、新聞には載るは、ラジオでは放送されるはで一流紙に載るか載らないかでは全く反響が違うと今更ながら再度実感。日本の新聞さえにぎわしている。

「白血球の型が完全には一致しない家族から生体腎移植を受ける患者に、臓器提供者の骨髄も一緒に移植して拒絶反応を抑えることに、米マサチューセッツ総合病院などのチームが成功した。」 とまあ要約されるとこうなるから複雑な思い。「成功した」と言えば成功例はもう何年も前に存在し発表しているし、「治療全例で100%うまくいくか」というとそんなことはなく、成功率は高いものの未だ実験的治療の段階を出ていないことは間違いない。このタイミングでニュースになるのは単にNEJM紙上に発表された以外の理由は何も無い。

学問的な知見を実際の治療へと結びつける研究は、科学を実学に翻訳(Translate)するという意味から、Translational Researchと呼ばれる。NEJMに載る載らずに関係なく、個人的にはこのラボが何十年もかけてやっているTranslational Researchとその産物であるこの治療法は素晴らしいと思っている。

腎移植を受けた患者さんは副作用のある免疫抑制剤を一生飲み続けなければならない。まだ数症例であるが、そのうちの一例に確か10代後半の女の子がいた。この子は骨髄・腎同時移植を受け、薬を飲まない状態というのを初めて味わったときに、「体の調子ってこんなに良くなるものなのだと生まれて初めて知ってとてもびっくりした」と言っていた。それが印象的であった。この治療を受けなければいわゆる普通の人生は送れなかったことは先ず間違いない。日常の様々な制限、薬の副作用、移植した腎臓の慢性拒絶。恐らくこの子は本当に運が良かったとしか言いようが無いと思う。天と地の差である。例え1人であってもこういう形で人生に影響を与えられるというのはやる気がでるものだなと思ったことを今も強く覚えている。

ハーバード大学医学部には「ハーバード大学医学部附属病院」という名の病院は無い。関連施設としての有名な附属病院が幾つもあり巨大なセンターを構成している。その中で直属と目され、最も古く、医学系全分野の治療を行っているのがマサチューセツ総合病院(Massachusetts General Hospital, 通称MGH)である。ここTransplantation Biology Research Center(移植生物学研究センター, 通称TBRC)はMGH内にあり、その名の通り「移植」というテーマに向けて様々な研究をしている。移植の基礎的な研究は元より、移植を用いて病気を治すという視点からは臓器移植による臓器機能回復と骨髄移植による癌治療の2点が柱となっている。メインのスタッフが元々免疫学者の素養が極めて高いというか免疫学を作ってきた人そのものなので、学問的な深みがあり面白い。

NEJM論文の筆頭著者である河合達郎先生は、第一にとてもバランスの取れた良い医師という印象がとても強い。TBRCへ研究留学後一度日本に戻るも再度ボストンに渡ってきて、米国医師免許を取得。現在ではMGHの移植外科医として中核をなし、日々、患者さんへの臓器移植を手がけている。また大動物を使った臓器移植の研究も精力的に行っている。科学的な目を持ちながらも常に患者さん、治療のことを考えて日々を送られており常々敬服している次第。何でも要領よく数年でこなすというタイプでは無いように感じる。10年掛けて打ち込んできた事がNEJM論文の筆頭著者ということで陽の目を浴びたわけである。とても嬉しく思う。

日本でもTranslational Researchを「橋渡し研究」と呼び、治療の現場と医学研究を相互につなぐということが現在 はやりになってきている。名前だけでなくTBRCでなされているような本当の意味でのTranslational Researchが効率良く行われるシステムを日本に作るために、いつか助力できれば幸いである。

2008/1/22 火曜日

Macintoshで作成したワード、パワーポイントのファイルで図・イメージが表示されない

Filed under: Software — tosh @ 12:45:51

ワードの書類中の図表が表示されないので、助けて欲しいという連絡を受けた。
ワード書類を送ってもらうと確かに図の変わりに

「            QuickTimeý Dz.
       TIFFÅiLZWÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ.
ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ-ÇÅB. 」

こんなものが表示されている。QuickTimeと書いてあるところより「多分Macで作ったワードがおかしいのだろうな」と推測

解決したが厄介だったのでMacを使わずにWindowsのコンピュータだけで画像ファイルを入手する手順を示しておく

とりあえずここが唯一の情報だった。以下、それを具体的にやってみたところ。

  1. 問題となっているワードあるいはパワーポイントを開き、ファイルメニューからウェブページとして保存(File > Save as Web Page…) を選んでウェブページとして保存。ここでは仮に「sample.doc」が元のファイル名だとする。そうすると「Sample.htm」というファイルと「Sample_files」というフォルダが出来る
  2. Sample_filesというフォルダの中身を見てみる。この中に拡張子が.pczというファイルがあれば間違いなくMacからの移行が問題になっていると思われる。.pczという拡張子を持つファイルはMac特有のPICTファイルをさらに圧縮したファイル形式である。
  3. pczという拡張子のファイルを解凍してPICT形式のファイルにする必要がある。これがなかなか対応プログラムが見つからない。 Total Commanderというシェアウェアを見つけて解決した。Wikipediaにも載っている由緒正しきファイラーらしい。シェアウェアだがメッセージがでるだけで登録・支払いをせずとも機能制限無く使える。
  4. このソフトを使って.pczというファイルを解凍する。ファイルをクリックしてメニューバーの「Start」の真下辺りにある「unpack all」アイコンをクリックして指示に従えば良い。解凍したファイルは.pctなどPICTファイル用の拡張子を適宜追加しておく
  5. まあ、ここからはPICT→GIF, JPEG, PNG, TIFFなど画像ファイルの形式を変えられるソフトなら何でもOK。ここでは定番のフリーの画像処理ソフトIrfanViewを使った。これもデフォルトではPICTファイルを読み込めなかった。ホームページからプラグインをダウンロードし、その中に含まれているQuicktime.dllをC:\Program Files\IrfanView\Plugins に入れてやる必要があった。これでIrfanViewを再度立ち上げやっと上記のPICTファイルが読み込めた。
  6. 後はIrfanViewでTIFFなど汎用の画像ファイルに別名保存すればWindowsで自由に扱えるようになる。元のワード、パワーポイントに張りなおすことももちろんできる。

全く手間のかかるバグを残してくれる。Word 2007, PowerPoint 2007になっても直っていないとのこと。

HTML convert time: 0.195 sec. Powered by WordPress ME