時計をはめないで過ごすようになってから何年が経つだろうか。無口でひたすら愛情のまなざしを注いでくれた祖父からもらった古いΩを確か高校卒業だったか大学の頃からしていた。良くなくしていた腕時計も全く無くさなくなり、肌身離さず持ち歩いていた。水が入り、日本シーベルトでも幾らかけてもどうにもならないと言われたときはショックだった。それ以来、3,000円ぐらいのCASIOの一番安いデジタル腕時計をしていたが、プラスチックのバンドがちぎれた。確か、機能的には良かったがあたり外れがあり、ボタンが押しにくかったりするのがあった。2回ほど同じものを買ったように思う。
いつの間にか時計をしなくなっていた。祖父からもらった時計の面影を求め、色々Webを漁ってみて、気に入ったのはPaneraiというメーカーの一つのモデルだった。しかし、何十万もする。とても未分不相応でつける気がしない。時計に負けない人物として自信が出たときに買えたら買おうと思っていた。しかも実物を見ていないから気に入るかどうか分からない。そして、時計をはめないでの生活が何年も続いた。10年近くになるのではないだろうか。
それでもWeb上で気になる時計はチェックすることがあり、随分と気に入ったものが出てきた。そうしたら何とミッションインポシブルという映画でトム・クルーズがはめたモデルというではないか。散々探して自分好みのを見つけたと思ったのに、がっかり。オンライン購入も考えたが、それでも気を取り直して2年ぶりの日本一時帰国にあわせて情報をプリントアウトしておいた。
新宿のさくらやウォッチ館はWatch.(ウォッチドット)などという分かりにくいネーミングになっていたが、中身は大して変わらず立っていた。何でも大抵揃っているので便利である。次のアポまで30分強。お目当ての時計目指して直進。見て、腕にはめたときにオンラインで購入しなくて良かったと思った。予想より大きい、青が気になる、液晶がそれ程見やすくないなどなど。ウィンドウに目が行き、若い今風の兄ちゃんに気になったのを出してもらった。チタン製とのことで軽い。盤面もやや小ぶりで落ち着いている。高さも低い。液晶もてらって青色を狙っていないので視野角が広くて断然見やすい。ガンメタルで落ち着いている。機能的には同じであった。15分ほど他のものとも比べて悩んだ挙句、電車の予定がせまっているので時間をロスせず決断できた。丁寧に長さをあわせてくれて、綺麗に包装して両手で紙袋を渡してくれた。アメリカに来ているとこの接客のクォリティは世界一なのではと思うほどであった。
どう自分が判断したかを振り返ると徹底したずぼらから来ていることが分かった。
- 時間を合わせるのが嫌、というより「狂っているかもしれない」と不安になるのが嫌→電波で合わせてくれる
- 電池換えをするのが嫌、というより「いつか止まるかもしれない」と不安になるのが嫌→太陽電池で光に当てなくても連続9ヶ月間動作する。要は電池換え不要。
- 日本から出たときに時差を気にするのが嫌→世界時間が夏時間も含めてデフォルトで設定可。電波での時刻合わせも。ヨーロッパ・アメリカにも対応
- 時計は貴重品、丁寧に扱わなくては、というより「壊すかもしれない」と不安になるのが嫌→G-SHOCKである。20気圧防水
- 仕事で時計と別にタイマーを持つのが面倒→タイマー、ストップウォッチが使いやすい
- 服やTPOに合わせて時計を変えるのが面倒→落ち着いていながらもカジュアルないでたち
要は何にもしなくてもいつも安心して使える時計が欲しかったことが分かった。少々恰好良くても最初のトム・クルーズモデルは大きすぎて重くて液晶が見やすくなかった。今1ヶ月が経とうとしているが、全くもって満足している。これでタイマーにプリセット機能があり、腕を斜めにすると自動的にライトが点灯というモードだと急激に電池が減る(多分夜中つけっぱなしのため。結局この機能は使っていない)、ここボストンだと電波が弱く自動時刻あわせは場所を選ぶ。という点さえクリアーすれば私個人にとっては究極の時計である。しかし、満足感は十分である。この空白の腕時計無しの期間を埋めてくれる存在になりそうである。
「怠慢は発明の母」というが、「ずぼらは機能美の母」なんだなと妙に納得した次第。
※ 最終的に買ったモデル。G-SHOCKのサイト・カタログにはもう見当たらない:GW-810TD-8JF
※G-SHOCKオフィシャルサイト
2010.11.12 追記
頻繁に残量低下により液晶が表示されなくなった。CASIOのホームページより見ると「修理内容に関わらず、税込8,400円」。修理内容に関わらずとは!でもコスト削減になっているのでしょう。凄いことを思いつく。で、Web上で登録したら送られてきたパッケージに何も考えずに入れて投函するだけ。5日ほどで戻ってきた。モジュール不良のため交換とのこと。結局、購入後3年4ヶ月ほどでメンテナンスが必要になったが、自分的には御の字である。最近のG-SHOCKはチタン製が高価なので、良い買い物していたなと。さあ、次はいつまで完全メンテナンスフリーでいけるでしょうか。