「丸山ワクチンの過去・現在・未来、自然免疫と癌治療」へのコメント

 丸山ワクチンの過去・現在・未来、自然免疫と癌治療

上記のエントリーには誤解を生みそうな文、文脈があり、非常に影響力のあるサイトゆえ注釈を入れた方が良いかと思われました。また非専門家であることは自覚の上まとめられておられ、癌に携わる医師・医学者からの反応を待っておられるのではないかと推測し、意見を書きます。

まず丸山ワクチンが癌を患わっている患者さんの癌を縮小したり、延命したりするという証拠は現段階では存在しません。生命科学の分野でここ数年MVPと評価された審良先生の素晴らしい仕事は丸山ワクチンが「仮に」効くと仮定した場合に、その効果を科学的に説明可能にする概念を示しただけであり、実際にその効果のメカニズムが分かったわけでは全くありません。

個人的には日本医科大学のホームページにある下記の記載が罪作りなのかなと思っています。
(1)副作用がほとんどない
(2)延命効果が見られる
(3)自覚症状の改善が図れる
(4)ガン腫の増殖が抑えられる

特に(2)(4)についてはまるで患者さんの体内でこのようなことが実際に起きるかのごとく記載されていますが、実際に癌腫の増殖が患者さんの体内で非投与群に比べて投与群が抑えられるというデータは存在しません。引用されているグラフもランダム化比較試験では無いため、本当に丸山ワクチンが効いて延命したのかどうか分かりません。それ故、医薬品として認可されていないのです。合成化合物ではなく結核菌抽出物であるいわゆるワクチンですから(1)は抗癌剤と比べればほとんど無いのは当然かと思われます。(3)についてもきちんとしたデータは出ていないと思われます。(2)(3)(4)に関しては文末に「…ことがあるかも知れない」というフレーズを付けないといけないのではと個人的には考えます。

「これによって初めて、なぜ感染症にかかった患者の癌が縮小するケースが見られたのか、「コーリーの毒」や「丸山ワクチン」になぜ癌を縮小させる効果が見られるのか、の説明がついたことになる。」という文脈がありますが、これは「…を説明可能な理論が提示されたことになる」に最低限変えないと嘘になります。現場で癌免疫を研究している者からすると「アジュバントという免疫学者の汚い秘密と言われていたものが、ある程度科学的にどういうメカニズムなのか説明するきっかけを審良先生が作ってくれた。」といった程度の状態で「丸山ワクチンがなぜ癌を縮小させるのか分かった」などとは口が裂けても言えない状態です。

またアンサー20は「放射線療法による白血球減少症」に対しての効果が認められた、つまり抗癌剤の副作用である白血球減少症により起きやすくなる肺炎など細菌感染症を防ぐ可能性を認められたのみで、癌に対する治療効果とは無関係です。サラッと流して読むと濃度を濃くすれば癌に効くような誤解を持たれる方が多いかと思うので、注意喚起した方が良いと思い記しておきます。

有償治験薬という肩書きをもち、9,450円/40日なので薬価だけだと年間9万円弱のコストになり、現在の抗がん剤薬価など他の医療費を考えると非常に安いと言えると思います。恐らく害はそれほどなく、悪徳商法というにはお金を左程取っていないので、患者判断で許される事例だと実情を分かっている医師たちも思い、流しているというのが現状ではないでしょうか。いずれにせよ癌に効く、効かないを決着させるには現在行われているのであれば二重盲検法を使ったランダム化比較試験の結果を待つ必要があると思います。

専門分野以外のことをまとめる際には個々の理解は合っていても、全体としてのメッセージが専門家であればありえない方向に行ってしまうことは良くあることです。中島 聡さんは一流のソフトウェアエンジニアであるので、専門分野であるソフトウェア関連のエントリーと今回の医学のような専門外のエントリーとは読み手の方が意識を持って異なる受け取り方をすべきなのですが、ナカナカ難しいものがあります。ある分野に一流な人は他分野についてのコメントも尊重されがちになってしまいます。難しいですね。

インフルエンザ

今回のインフルエンザ騒ぎの中、質問を受けたこともあり疑問点を調べてみたので備忘録として記す:

  1. インフルエンザの効果は何をReadoutとして臨床的・研究的に評価されているか
  2. インフルエンザの治癒過程での液性免疫と細胞性免疫の役割の解析はどこまで行われているか
  3. ゼロリスク症候群のにおいがプンプンするが、予防接種は何を目的としており、どのくらいの効果が期待されるのか

検索した資料、先ずはGoogleにて

  • 母子保健情報 第 59 号(2009 年 5 月)
    • www.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/kaisetsu/ks0911/ks0911_5.pdf 
    • 抗体検査、つまり液性免疫が評価に使われていることが分かった。
    • 「ワクチン株と流行株の抗原性が一致した場合…」と記載されているが何を持って抗原性の一致としているのか
    • → 恐らくは不活化ワクチンに使ったウィルス株と流行したウィルス株の両方ともがワクチン接種後の患者由来の血清で赤血球凝集抑制がかかった場合に抗原性が一致したと解釈しているのではないか。ここは推測。
    • Immunodominantと考えられている赤血球凝集素 hemagglutinin (HA)抗原とノイラミニダーゼ neuraminidase (NA)抗原をシークエンスしてホモロジーをチェックしたところで結局、結果としての免疫応答を測定した方が正解に近いと思われる。逆に不活化ワクチンに使ったウィルス株と流行したウィルス株の蛋白の相同性とHI試験の結果の相関はどの程度実証されているのか調べる必要有り。
    • HA抗原がImmunodominantであると証明してる原著も、存在するのであれば探す必要有り。
  • まず基本をもう一度押さえる。In vitroでのReadoutとしては赤血球凝集抑制(HI)試験が使われている。
    • http://blog.livedoor.jp/pharma_di/archives/51463534.html
    • 要は血液中の抗ウィルス抗体によりウイルスの持つ動物赤血球凝集能がどの程度抑制されるかを希釈系列で定量化するもの。
    • インフルエンザでは40倍以上の希釈で赤血球凝集抑制が認められた場合、効果が期待されるとされているらしい
    • アナログな方法ですな。この赤血球凝集能とヒト細胞への感染能などとの相関はどうなのか→このHI検査の原著を探さねば
  • チラッと厚労省に情報があるかと思ってみたが、科学的な記載は無し、また参考文献も無し。しかし国立感染研Q&Aへのリンク有り。
  • 国立感染研Q&A
    • http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAdoc04.html
    • 僅かに役立つ情報が2つ
    • http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAdoc04.html#q18
    • 先ずはワクチンの精製法が記載されていた、不活化ウィルスをそのまま打つわけではなくHA分画を濃縮して取ってくるとのこと。多分遠心分離なのだろうが、具体的にはどのような操作で取ってくるのだろう。
    • →密度勾配遠沈法によりHAを回収して主成分とhttp://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/intro.htmlに記載有り
    • http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAdoc04.html#q34
    • 次にゼロリスク症候群がらみ。脳炎予防効果は証明されていないとのこと。やはりなぁ。
    • Wikipediaも恐怖心をあおるような書き方をされていて感心しない。原則は99.99%の人に取っては4-5日休めば自然に治るちょっと症状の強い単なる風邪である。強い症状は最初の数日のみ、ワクチンもタミフルも別に必要無い。
    • http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6
    • そもそも季節性インフルエンザで死亡する人など多くて年間数百人で200人〜2,000人である。今度の新型インフルエンザ(ブタインフルエンザ、A型H1N1)ではもっと少ないだろう。ちなみに交通事故で1万人、たばこによる肺がんで数万人毎年亡くなっているのが日本の実情である。交通事故で亡くなった方が周囲に何人いるだろうか。少なくともリスクはその10分の1以下超過死亡概念(下記)を取り入れても同程度である。中学生から60前後のいい大人までは「自分のために」インフルエンザワクチンなどを打つ必要は全く殆ど無い。あくまでハイリスクの人へ感染させないようにするために打つわけである。車のよけ方でも練習している方が余程寿命延長に効く筈である。
    • 超過死亡概念(インフルエンザが流行した年に通常年と比較して死亡者数が多くなった場合、それをインフルエンザによる死亡と見なす考え方である)というものを使うと流行した年は年間1万人程度がインフルエンザで死亡していることになっているが、そもそもこの考え方は正しいのだろうか。
    • 記憶に間違いが無ければ集団免疫の研究からは母集団の70~80%の人が免疫を持っていなければ、その集団での発生を防ぐことは出来ない。有料になるワクチン接種では接種率が20-30%になるというデータがあるらしい。日本は3,000円ほど費用を取っている。
    • しかもメディアはインフルエンザで亡くなった人を大々的に取り上げて国民の恐怖心をあおっている。O157、狂牛病、日本国民は何度メディアに踊らされて、罪亡い一部の人が損害を被ることを繰り返すのであろうか。O157ではカイワレ大根業者、狂牛病では牛を扱う農家が根拠のない損害を被った。そして今、皆まるで何も無かったかの様にカイワレ大根を食べ、牛丼を食べている。狂牛病など国内で一人でも発症したのだろうか。廃業になった業者は複数存在する。
    • 脱線したが、全国民の70-80%がワクチン接種する見込みがないのであれば、ハイリスクとその周囲を取り巻く人に無償でワクチンを接種させることを義務づけることが、正しい在り方なのではないのだろうか?
  • 思いついて「インフルエンザ 液性免疫 細胞性免疫」でググったところ
  • http://ruteth.cocolog-nifty.com/diary/
    • ここのインフルエンザ豆知識は個人のページらしいが、内容は信頼できそう、かつ概要把握に役立った。
    • HAは細胞感染に必要な蛋白ということでそれに対する抗体反応が強ければ感染しないだろうというストーリーは分かりやすい。
    • しかし「インフルエンザに対する免疫機能の主体は、抗体による液性免疫ではなく、細胞性免疫である」という非常に気になる記載有り。引用文献の記載無し
    • ウィルス感染なので当然細胞性免疫dominantだとは思ったが、細胞性免疫は確かに簡便な測定法がない
    • 恐らくT-dependent B cell activationで抗体は出来ており、抗HA抗体反応はウィルスに対する細胞性免疫活性化の程度と相関しているだろうという推測がそこにはあるのだろう。まあどうなのだろう。怪しい。
  • http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2009-11-12  http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2009-02-13
    • これを記載している医師も分かっている方の様で勉強になった。必ずしも西洋医学中心でなく、心療内科もされているとのことだが、興味深い先生。
    • (引用)「今回の行政の判断は、そもそも「集団予防」の効果しかないワクチンを、「個人予防」のために使う、という考え自体が誤りなのであり、…」正鵠を得ている。
    • 粘膜免疫を司るIgAではなくIgGを誘導するので感染自体は予防出来ないと厚生省も言っているらしい。
    • 実際には細胞性免疫が誘導されているのでは?と書いている、ま納得できる。
    • 吸入ワクチンのことが書かれていたが、これはアメリカでやられている奴なのかな。弱毒化ワクチンとは。ま、確かに少々怖い。
  • http://d.hatena.ne.jp/ousta/20091030/p2
    • ここもEvidence basedで良い感じ。しかし、インフルエンザワクチンというのは根拠が薄いワクチンの様子。
  • ふとヒトCD8 T細胞のテトラマー実験でインフルエンザペプチドをポジコンに使っていたことを思い出した。インフルエンザの共通抗原由来のペプチドなのだろうが、これからすれば誰でもある程度細胞性免疫は持っており、ワクチンはブーストになっているということになる。まあ、株に寄って異なる抗原部分(HAなど)が発病に決定的である場合にはワクチンが臨床効果に結びつくのだろうが。実際の発症率が接種群と無接種群でどのくらい差があったのか生データを探す必要ありそう。打てば発症しないというのは分かるが、打たない場合に発症するかは比較しないと分からないゆえ。この辺り、一時資料の参考文献引用付きでまとめているサイト無いだろうか。
  • マスク、うがい、手洗いの効果についても根拠を調べることとする。感触としては非常に怪しいと思っている。少なくとも風邪についてはマスク、うがい、手洗いの効果の根拠はないと聞いた記憶有り。日本国外では聞いたことがない。「原理的に良いはずだ」ということと「実際に効果がある」ということは別である。景観、美意識の観点から個人的には昨今の日本でのマスクブームは目に余るものがある。5年ぶりに日本に帰ってきて驚いたことの一つ。仮面ライダーのショッカーに囲まれている気分になる。誰か疫学的根拠があったら教えて欲しい。
  • 概要が分かったので、ここからは一時資料を読むことにする。今日はここまで。この頁は情報集め次第更新予定
  • 先ずはCDCを読まないと。
    • http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr5707a1.htm
    • Methodsの章に大切な記載有り
    • The best evidence for vaccine or antiviral efficacy and effectiveness comes from randomized controlled trials that assess laboratory-confirmed influenza infections as an outcome measure and consider factors such as timing and intensity of influenza circulation and degree of match between vaccine strains and wild circulating strains (8,9). Randomized, placebo-controlled trials cannot be performed ethically in populations for which vaccination already is recommended, but observational studies that assess outcomes associated with laboratory-confirmed influenza infection can provide important vaccine or antiviral effectiveness data. Randomized, placebo-controlled clinical trials are the best source of vaccine and antiviral safety data for common adverse events; however, such studies do not have the power to identify rare but potentially serious adverse events.
    • (8) Smith NM, Shay DK. Influenza vaccination for elderly people and their care workers [letter]. Lancet 2006;368:1752–3
    • (9) Nichol KL, Treanor JJ. Vaccines for seasonal and pandemic influenza. J Infect Dis 2006;194:(Suppl 2)S111–8.
    • 先ずはワクチンがインフルエンザ予防に効果有りとされた根拠となる上記2つの原著を読んでみる。
    • それにしてもCDCの情報量に驚かされる。引用文献が502報。日本には比較可能なぐらいのサイトはあるのだろうか。
  • 日本国内のこれに相当するものがhttp://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/intro.htmlだとしたら少々悲しいものがある
    • ここには「死亡率の減少などとともに、次第に「インフルエンザはかぜの一種でたいしたことはない」という認識が我が国では広まってしまったが、決してそうではなく、国内でも地球的規模で見ても、インフルエンザは十分な警戒と理解が必要な疾患である。流行に伴う個人的・社会的損失はたいへん大きい。また新型インフルエンザウイルスの出現は必至である。これに対する警戒を怠ってはいけないことも強調しておきたい。」などと書かれているが、具体的に通常の風邪とどう異なり何故重大でどのように対処すれば良いかが結語の部分で全く書かれておらず「個人的・社会的損失はたいへん大きい」の一言で済ませている。そもそもインフルエンザ感染で個人的損失で大きなものなどあるのだろうか?
    • 「通常の風邪よりも流行しやすいため、重症化しやすい免疫学的弱者に対し集団免疫の観点から集団全体で予防を施すことが大切である。これを実現するには母集団の70-80%がインフルエンザに対する免疫を持ち、感染・排菌をしないようにすることが必要である。変異を起こしやすく免疫の維持が半年ほどであるインフルエンザに対しては毎年その年に流行が予測されるタイプのワクチンを母集団の70-80%のヒトが接種をうける必要がある。」こうは書けないものであろうか。
    • 過半数の日本国民にとっては「インフルエンザはかぜの一種でたいしたことはない」という言葉は真実と思われるが不用意にこれを全面否定することは恐怖心をあおっているメディアと変わらないように思われ、少々悲しくさえ思う。
  • 上記(8)の文献を読んでみた。2006年に出たreviewのreview。ということで更に孫引きが必要。しかし、ここにまとめられていることは高齢者と高齢者の治療に当たる医療者に対するワクチンの効果・副作用に関するsystemic reviewが行われ、高齢者に対するワクチンは副作用は無いものの効果はさほど無く(only modest reduction of complicationsという表現を使っている)、医療者に対する効果は示されなかったと書かれている。
  • 信頼する小児科医より情報を頂いた。歴史的経緯を良く御存知の方からの情報は大変助かります。
  • 先ずは前橋レポート
  • そしてそれを覆さんとする日本発のNEJM paper
  • ざっと読んだが、かなり両方とも質の高い資料の様子。読むのが楽しみである。
  • 今のところのワクチンに関する感想は下記の著者と同じといったところか
  • 覚え書き
    • Vu T et al. A meta-analysis of influenza vaccine in persons aged 65years and over living in the community. Vaccine 2002; 20: 1831-6.
    • Govaert TM et al. The efficacy of influenza vaccination in elderly individuals: a randomized double-blind placebo-controlled trial. JAMA 1994; 272: 1661-5.
    • Treanor JJ et al. Protective efficacy on combined live intranasal and inactivated influenza A virus vaccines in the elderly. Ann Intern Med 1992; 117: 625-33.
  • 新型インフルウイルスの免疫部分、季節性と共通点多数
    2009年11月17日8時40分
    http://www.asahi.com/science/update/1116/TKY200911160372.html

    新型インフルエンザウイルスの免疫にかかわる「目印」部分に、これまでの 季節性インフル(Aソ連型)と共通した部分が多数あることを、米ラホイヤア レルギー免疫研究所などが突きとめた。ワクチン接種が1回だけで免疫力が得 られる理由の可能性もある。今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表する。

    病原体を抑える免疫反応には、大きく分けて2種類ある。特殊なたんぱく質 (抗体)がウイルスなどを攻撃する液性免疫と、リンパ球(T細胞)が攻撃す る細胞性免疫だ。これまで、高齢者の一部から新型ウイルスに反応する抗体は 見つかっていた。

    研究チームはT細胞に注目。ウイルスにある「抗原決定基」と呼ばれる免疫 反応にかかわる部分を調べた。すると、ある種のT細胞が反応する抗原決定基 は、季節性インフルのAソ連型に78個あり、このうち54個が新型インフル でも見つかり、69%が同じことがわかった。

    研究者は季節性と新型のウイルスが共通する部分を持つため、多くの人が何 らかの免疫反応を持っている可能性を指摘している。

    十分な免疫力を得るために新型ワクチンは2回接種が必要と考えられてきた が、臨床試験では1回で十分との結果が出ており、専門家の中には細胞性免疫 が関係するとの見方もある。(小堀龍之)

  • こんな記事が載っていたので、調べてみる。
  • http://www.pnas.org/content/early/2009/11/13/0911580106.abstract
    サラッと読んでみたが、予想していた細胞性免疫が強く絡んでいそうな点、抗原基はHAだけでは無い点、それなりの免疫を殆どの人は持っていそうな点に関して、全てビンゴでした。

    B cell, CD4 T cell, CD8 T ellの抗原として同定されたHA抗原部位43個のうち、保存されているのは立った5個(12%)でした。元々変異の多い部分だから毎年打たなければという理由で、HAを純化していたわけで保存されている部分はそれ以外の蛋白由来なのは当たり前に思える。ちなみにHA以外の蛋白由来の抗原決定基は50%以上保存されている。

    また逆に抗原決定基として同定された243(これはDatabase searchで出てきたものらしいので、Biasはかかっているだろうが)のうち、HA蛋白由来のものは43個即ち18%でした。

    つまりウィルス蛋白の中でターゲットとなっている抗原部位の18%がHA由来でそのうちの12%しか季節性と新型で保存されていないということになる。逆に言えばターゲットの8割はHA蛋白以外で、その2割のHA由来の抗原決定基の中でも1割しか季節性と新型で保存されていない、ということになる。

    HA純化により、「接種は1回でもOK」理論は日本の場合、妥当性が低くなる。ま、そもそもHAに本当に純化されていて、アジュバント効果も低いのであればワクチンとして効くこと自体が首をかしげる物なのですが。本当に効いているのであれば逆に純化の程度が低く、それならば上記の理論は当てはまるのかも知れない。

    また免疫の強さは多数決つまり抗原決定基の数で決まるわけではありません。抗原決定基が少なくてもそれに対するT細胞の反応が強烈であれば、極論すれば抗原決定基は1つでも良い。この現象をImmunodominancyと言うが、これについて定量的に研究するのは非常に困難。そこまではこの論文でも全く押さえられていない。

    PNASというのは著名な専門雑誌だが、一部peer review無しで載せられる。オバマにとってFlu vaccinationが政治マターになっているこのタイミングで出てくると邪推したくなるが、まあ恐らくは考えすぎだろう。

  • いずれにせよ調べていく中で実感することは、日本で行われているインフルエンザ対策はかなり的はずれであるこ点、ウィルスを研究している専門家の意見も御用学者以外のまともな物はあまり表に出ていないという点である。やはり専門家が分かる範囲でわかりやすい言葉を使って国民に発言することは、税金ベースの科研費で研究している以上、義務なのではないだろうか。

Junior Seau

Patriots All Access – 10/16/2009

25’15” Just give me the helmet and we’ll work it out.

27’30” I don’t forecast. I don’t forecast my years. I don’t forecast my days. All I know is that I got today to be a better player. And hopefully I can grow from there.

29’34” We’ll show you. It’s simple. No talk. Just go out there and perform. Just shut your mouth. Go one day at a time, play one play at a time. And we’ll see where we are.

Whatever they need, what we need to do is go out there and work, starting today. It’s simple.

– Junior Seau

USエアウェイズ1549便不時着水事故

USエアウェイズ1549便不時着水事故

60 Minutes, 07.05.09

お気に入りの番組だった60 minutes。英語がはっきりしていて面白いトピックなので聞いていて飽きない。英語の勉強としてこのPodcastはお気に入り。音声だけ。で、良い物があると映像が見たくなる。そしてこの品質の番組を全部タダで配信している。フルの番組30分を見ることができる。驚き驚き。この短い間に、人の感情、プロフェッショナルであること、求められる英雄像、PTSD、奇跡、偶然と必然、とにかく質問事項も映像も練り込まれていて番組自体が良く作られている。

機長さんの症状は典型的なPTSD。取りあえず30分時間が取れる方、見てみてください。

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理

p.323 「大事なのは、どれだけ考え抜けるかです。考えをはっきりさせようと紙に書く人もいますが、それは必ずしも必要ではありません。とくに、袋小路に入り込んでしまったり、未解決の問題にぶつかったりしたときには、定石になったような考え方は何の役にも立たないのです。新しいアイディアにたどりつくためには、長時間とてつもない集中力で問題に向かわなければならない。その問題以外のことを考えてはいけない。ただそれだけを考えるのです。それから集中を解く。すると、ふっとリラックスした瞬間が訪れます。そのとき潜在意識が働いて、新しい洞察が得られるのです」

こんな本が820円で読めるなんて。忙しいときに限ってこういうのに はまってしまうが今回も一気に読んでしまった、買ったまま大切に読むタイミングを待っていた甲斐があった。物理、数学など自然科学に少しでも興味のある人々、そして「人」そのものに興味を持てる全ての人が楽しめると思う。350年もの間、人類の英知を跳ね返し続けた、フェルマーの最終定理がドラマチックに証明されたのが自分の生きている間だったことは何かしら幸運だったと思える。

カラマーゾフはいつになるかな。多分、しばらくは無いな。この本の余韻で当分気持ちの良い日々を過ごせる気がする。

★★★★★

Acronis True Image 10無料ダウンロード

『Acronis True Image 10』が無料でダウンロードできます!

ここに沿って操作をするとシリアルナンバーはメールで送られてくるが、サイトからのダウンロードは出来ず、「Personal Computer World」という雑誌についてくるCD-ROMからインストールしてくれと送られてきたメールに記載がある。

「We’d like to remind you that the product installation package is not published on Acronis Web Site. It can only be obtained from a CD included in your copy of Personal Computer World magazine.」

しかし実際には下記から直接ダウンロードできた。

 https://www.acronis.co.uk/my/download/?TrueImage10.0_p_en.exe

この情報は下記のovirtoという人のコメントより発見。
Get Acronis True Image 10 Free

このソフトは起動ドライブのバックアップを取るのに長けている。クリーンインストールしてOSのUpdateをかけMy DocumentをD:に移動し、デフラグした時点でC:のイメージファイルを取っておくと、1年後ぐらいにクリーンインストールする際にとても楽。

Gmail添付文書のファイル名文字化けを直す

= ISO-2022-JP B GyRCSSxNVz1xTmAbKEI= =.pdf
35K   View as HTML   Download 

こんな風にGmailの添付文書のファイル名が文字化けしている場合を時々経験します。

そんなときは下記の手順で元のファイル名を知ることが出来ます。

BASE64変換 WEBアプリケーション、フリーCGI配布 —ahref.org」などBase64変換をWeb上でしてくれるサイトで直すことが出来ます。

具体的には上記のようにファイル名が
= ISO-2022-JP B GyRCSSxNVz1xTmAbKEI= =.pdf
であれば、
「GyRCSSxNVz1xTmAbKEI=」の部分をコピペして
デコードを選択し、
オプションの「変換時に様々な文字コードを試みる(デコード時のみ)テスト中」にチェックを入れ
「→変換→」
を押します。JIS(=ISO-2002-JP)の部分に元の文字列に変換されたものが示されます。

鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ

鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ

  • p. 16 4つの条件
    • 企画やプロジェクトに関連する全ての事実、予測、条件を簡潔に述べていること。
    • 相手の同意を取り付けるために、効果的で説得力のある言葉で書かれていること。
    • 読み手に具体的な行動を提案していること。
    • これらのすべてが一枚の紙にまとめられていること。
  • P.30 情報を蓄積する
    • 企画の目的を念頭に置いて、情報の在庫確認をする。
    • 企画書のテーマについて確実に分かっていること、知らないことの2つのリストをこの順に作る。
  • p.35 誰に読ませるのか?
    • 企画書の内容やトーンが変わる。その人の関心事・思考様式・行動パターン・経歴に合わせ反応を予測して書く。
    • 企画書の読み手はナンセンスな提案を見抜く鋭いレーダーを備えていると考えて行動している。
  • p.43 質問に先回りする
    • プロジェクトの骨組みは?
    • 計画実施には誰が責任持つのか?
    • コストは?
    • どのような利益が見込めるのか?
    • いまなぜ、そのプロジェクトを提案するのか?
    • 企画のどこがユニークなのか?
    • あなたにはどのような経験があるのか?
  • p.50 8つの要素
    • 順にタイトル、サブタイトル、目的、サブ目的、理由、予算、現状、要望
    • Title, Subtitle, Target, Secondary targets, Rationale, Financial, Status, Action
  • p.54 それぞれのパートを解剖する(理解する)
  • p.60 整理
    • ファイル(紙ベース)或いはフォルダ(コンピュータ)を8つ用意し、集めた資料の全てをそこに分類する
    • 明らかに要らない情報のみを捨て、整理する
    • 優先順位をつける
    • ポイントをワンセンテンスずつにまとめていく、「目的」のファイルから実行
      • リサーチの結果はすべて、いずれかのセンテンスに反映されているか
      • それぞれの記述は、リサーチを通じて得た結論や認識を正確に表現できているか
    • パラグラフにセンテンスをまとめていく
    • 頭を冷やす
      • この企画で自分はなにを成し遂げようとしているのか
      • 言いたいことは全部おさえたか
      • それは明瞭にいえているか
      • 欠けているものはないか
      • 論理に飛躍はないか
      • 根拠を示せていない主張はないか
      • 数字はちゃんとつじつまがあっているか
      • そしていちばん重要な点。企画そのものに十分な説得力があるか
    • 企画書の構成を考えてから実際に執筆するまでの間に、少し間隔を開ける。
  • p.70 企画書の執筆
    • 理由
      • 舞台の設定
        • 読み手の興味をひきつけること
        • あなたがどういう人物で、あなたがどういう知識をもっているのかを読者に伝えること
        • あなたが企画書を書いた動機をかいつまんで伝えること
      • 根拠の提示
      • 売り込み
      • タイミングとスケジュール
  • 刈り込み、見本、体裁についての記載が続く

★★★★★ 読んで良かった。2度目にまとめた。学校教育でも取り上げて良いかと。タイミングの良い人にはうってつけの本になるかと。

そろそろ感染する癌について一言いっておくか

癌を専門に特に最近は免疫学の側面から研究を続けてきたのでそろそろ一言いっておかねばならないかなと。

半年ほど前のこと、、、

同じ職場で働いている友人の免疫学者H氏
「癌て感染することもあるのですね。免疫の進化は主に細菌とウィルスへの対抗手段として発達し、癌は各個体で終わるから進化の淘汰圧にはならないという考え方は改めないといけないかも知れませんね。」

私「あ゛っ?」「(3秒ほど考えた後で)いや無いと思うよ、マジで。ありえない。まず、どうやってアロのバリアーを先ずクリアーするんだ?ソースは?怪しげなネットじゃなくて?とりあえずリンク送って」
(心の中で)「H氏確かに癌は非専門だけど、免疫は俺より良く知ってるし、マジ優秀なのに何言ってるんだ?無いだろ普通」

H氏「http://ghop.exblog.jp/4115367/ とりあえずこれを。」

私「やっぱりブログか、ん、しかしソースのリンクが張られているぞ、感心感心。Natureの方をクリック、、、って、リンク先切れてるし、、(日本国内からのみ有効なURLの様子)」

気を取り直してURLをいじって記事にアクセスし、ザクッと読んで見た http://www.nature.com/nature/journal/v443/n7107/full/443035a.html

私の直感は間違っていると同時に合っていた。そこにはいつもながらの「言葉」のトリックが。言葉は神であると同時に罪作りでもある。

私のEmailでのH氏への返答(2008.2.14)

「ザクッと読んだけど、本当みたいだね。しかし染色体が正常78個の染色体が58-59個になっているって、それはもう癌というよりも別生物だね、自分の感覚では。染色体分析は白血病・リンパ腫では固形癌と違ってルーチンの検査で出すのだけど、1個でも染色体欠失があるのは珍しいほう。2個欠失は本当に稀。

アロの個体同士だって99.9%ゲノムレベルでは同じだし、癌だって90%以上ゲノムレベルではホストと同一というのが何となくの感覚。だからこそホストの免疫が見逃した奴をアロが叩ける。しかし、20個染色体が平均して無くなっているって、何それの世界。アロもMHCもへったくれもないね、こりゃ。犬の免疫系をすり抜けられる犬のゲノム由来の別生物って感じかな感覚としては。

全ての犬に対してFull AlloとXenoの間のような存在だね。それこそXeno Toleranceの良い研究の系になるのでは?犬以外の種にも感染するのかな?人にはあったら、何らかのきっかけでとっくに見つかっている気がするので、多分無いと思うが。それから、この手の癌(生物?)からの対抗手段として免疫系が発達したってのも、にわかには??動物界に属する生き物で、この手の生命体の存在がどのくらい一般的なのかで大体の全体像は掴めると思う。

いやでも全く僕の知らない知見で面白いことは確か。ありがとう。」

以上は送ったまんま。別にこの話題は放置しておいのたが、今日気になるエントリ
http://blackshadow.seesaa.net/article/103592445.html
を読んでしまったので記事にした次第。

今朝の私
「進化論に関して誰か知らないがメディアに露出している怪しげな輩を叩いているらしい、感心感心、、、ってこの人も感染する癌とかエントリー書いていて、、(読んでみた)、、んー しかし感染する癌っていう表題、誤解招きやすいよなぁ。一言言っておくか」

一言言っておき、防がなければいけない風評は下記のような会話

(主婦)「Aさん癌になったんですってねぇ、大変だからお手伝いしようかと」
(知ったかぶり輩)「でも犬では癌が感染することありますから、人でも無いとは言えないかもしれません。止めておいたほうが良いのでは」

無いです。人の癌自体は感染しません。このエントリーで言いたいのはそれだけです。
その理由はH氏の返答に要約されています。

これらの一連の知見で一番罪作りなのは、この「感染する主体」に対して「癌」という言葉を使ったことです。他に良い言葉は無いですし、仕方無いのですが、私たち医師、医学研究者が人の癌と呼んでいるものからするとかけ離れたものになります。この「感染する主体」は犬のゲノム由来の新たな生き物(別種)として紹介された方が混乱が無かったようにも思います。このあたりは対象と言葉が一対一対応しないことの限界ですね。

このエントリー、特にH氏の返答部分については免疫学のベースがなるべく無くても分かるように質問に応じて説明を付け加えて分かりやすくしていこうと思います。先ずは書きそびれないように勢いのみで記載しておきます。

MouseoverDictionaryをFirefox 3.0.1で

 2008.9.29 追記 本家サイト にてFirefox 3.0.2にても支障なく使用できる最新版0.6.4が公開されました。問題なく使えています。

Firefoxには最小限のAddonを入れるように努めているMouseoverDictionaryは欠かせない。
これは英辞郎が必要であるが、英文サイトを読むのには私にとってはこれがベストの環境である。
しかしなぜか私の環境(WindowsXp, FirefoxPortable)では最新版の0.6.3は使えず0.6.2を使っていた。
しかしこれもFirefox 3.0→3.0.1へのアップデートで使えなくなった。

0.6.2ではショートカットのAlt+NがFirefoxのデフォルトの検索ウィンドウのショートカットと重なっていたので、これも同時に0.6.3でうたわれているAlt+Mへの変更も同時にしたい。重い腰を上げてAddOnファイルをいじってみることにした。

以上の変更を加え、Firefox 3.0.1でもインストール可能、かつショートカットをAlt+Mに変更したものが下記です。
クリックすることでインストールできます。辞書自体のインストールは本家サイトを参照下さい。
mouseoverdictionary-0.6.2-ts1.xpi

行ったことは下記の通りです。まず本家サイトの下の方にある
downloadというセクションよりmouseoverdictionary-0.6.2.xpiというファイルを右クリックから「リンク先を保存」を選び保存します。

拡張子がxpiのファイルもjarのファイルも基本的にはテキストファイルのzip圧縮。
先ずはmouseoverdictionary-0.6.2.xpiをzip解凍して中身を見てみた。

まずinstall.rdfというファイルにインストール可能なFirefoxのVersion情報があったので下記に変更

<em:maxVersion>3.0</em:maxVersion>
→<em:maxVersion>3.0.1</em:maxVersion>

次に\chrome\mouseoverdictionary.jarというファイルをzip解凍すると
\locale\en-US\mouseoverdictionary.dtdというファイルにショートカットの情報があったので下記に変更

<!ENTITY openMouseoverDictionary.commandkey "N">
→ <!ENTITY openMouseoverDictionary.commandkey "M">

後は順次解凍したフォルダをzip圧縮後、ファイル名を元に戻します。
まずcontent,locale,skinの3つのフォルダをzip圧縮し、mouseoverdictionary.jarにファイル名を変更
このファイルをオリジナルのmouseoverdictionary.jarに上書きし、
更に全体をzip圧縮後、拡張子をxpiに変更。ファイル名は何でも良いが、上記のリンクでは
mouseoverdictionary-0.6.2-ts1.xpiとしました。

最後に、このファイルをFirefoxのウィンドウ(ウィンドウは何が開いていてもOK)にDrag&Dropし、指示通りインストール 。
うまくいっていれば辞書登録後、Alt+Mで使えるようになる筈です。以上です。